2012/04/05

4月3日、4日と日本列島を春の嵐が通過していきました。台風を思わせる雨と風で桜が散った所もあるでしょう。こちらはまだ桜にもはやく、散ってしまった春の草木は少なかった様に思えます。コブシの花は散りやすいと思い、心配していたのですが、まだ固かったのか、ほとんど残っていました。春が遅かったのが幸いしたのでしょうね。

さて、今日は先日の嵐とは対照的な、静かな雨が降っています。霧雨でしょうか、遠くがかすんでいます。

司馬遼太郎の随想に「三月の雨は六朝の涙に似たり」という言葉が出てきたのを覚えています。確か、漢詩の一節だったかな・・・

このくだりがどのような流れだったか、記憶は定かではありません。しかし、ふと、今日の優しい雨を見て思い出しました。

長江のゆるやかで駘蕩とした、それでいて巨大な流れを引いた水路に架かる石の橋と柳、遠くにかすむ高楼、廟、朱で彩られた複雑な装飾の丸い窓。

中国を夢見る時、そういった風景が思い起こされるのですが、実際はどうなのでしょうね。日本では、多くの神社の境内で凛とした空気を感じる事ができます。中国の大きな私有(あ、私有はありえないのかな?)の庭園にもきっと、駘蕩とした世界が残っている事を期待しているのですが・・・淡い夢なのでしょうか。

雨を涙に例えるのはよくあることですが、時代の涙に例えるのもなかなか風情がありますね。今日は濡れれば冷たく、春を遠ざける雨が、強くふる訳でもなく、かといってやむことなく、降り続いています。なにか、泣いているのかもしれませんね。

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