2013/06/16

週末雑感 影響


昨日は梅雨らしい天気になり、わりとご機嫌な李花尺です。

さて、今回は私が作品を作るにあたって深い部分で影響を与えているものはなんだろうか、ということを考えていきたいと思います。「巡るは季節」や「朱と蒼」はそれぞれ題材とした小説がありますし、初期の数作品では和歌をもとにしています。これらは明瞭な「原作」がありますが、それとは別に、私自身のものの考え方や捉え方の由来というのはなんなんだろうか・・・ということを考えていこうという試みです。

さて何が一番影響を与えているか、それは実際に過ごした環境なのでしょうが、まぁ、それは説明しにくいものですから、よく見ていた・読んだものを列挙してみましょう。


小さい頃、小学校や中学校の頃はジブリをよく見ていたと思います。風の谷のナウシカ、天空の城 ラピュタ、もののけ姫。この辺りは結構な量の台詞をそらんじる事が今でもできると思います。これら以外も見てますが、そんなに覚えてないです。トトロもずいぶんと見たはずなのですが、いまいち覚えてないですな。影響のことを考えると、絵柄の面ではおそらくジブリの影響があるのかもしれません。
 逆に、ジブリ以外で覚えているアニメ作品・・・それこそ何度も見返したような作品はないです。
 リアルタイムで見ていたアニメとか何があるのだろう・・・と思うのですが、さっぱり出てこない。ポケモンもやってたと思うのですが、いまいち。あ、日本昔話も見てましたね。・・・田舎の風景・前時代的な景色が好きなのはこのためでしょうか?
 漫画ですが、これもほとんど見てない。one pieceぐらいですね、単行本が部屋にあるのは。ジャンプもマガジンもサンデーも立ち読みすらしてこなかったので、影響はアニメよりも薄いと思います。基本的に漫画的な要素が薄いのはこのためですかね。

さて、アニメ・漫画の影響の話はこれくらいにして、小説の話でも。
高校の頃、司馬遼太郎をずっと読んでいました。「坂の上の雲」をはじめとして、随筆、短編集などを読んでいました。彼の主人公に対するちょっと引いた視点で愛するという手法は好きです。尤も、それがどう影響しているのかというとよくわかりませんが。
 大学以降は世に言う「名作」と呼ばれるものをとりあえず乱読しているのが現状です。そのなかで印象深かったのは「川端康成」でしょうか。この文豪の表現の多様さと繊細さとその音が好きです。音というのは読んだときの旋律といいますか、流れというか、これがすばらしいのです。
 「罪と罰」。この名著には美しく純粋な女性が出てきます。人間の愚かさや葛藤が描かれていくなかで、その女性は非常に際立ち、印象に残っています。
 三島由紀夫の作品も圧倒的な美しさを持っていると思います。「巡るは季節」でも題材としましたが、彼は本質的なことを巧みな修辞でもって表現することにものすごく秀でていると感じています(何をえらそうなこといってるんだか)。
 後はムーミンと宮沢賢治が好きですね。ムーミンの日常のおおらかさやちょっとした風刺が小気味いいですし、宮沢賢治の不思議な世界は私を魅了します。

こうみると小説は「美しいとは何か」を私の中で形成するのに役立っているのだと思います。ちなみに小説も基本的には読み返しをしないので、特定の作家の作品の特徴をまねるには至っていないと思います。また、人の心の動きの繊細さなども小説から知らず知らず学んでいるのかもしれません。
一方で、推理小説は全くと言っていいほど読まないので、伏線とか謎解きとかそういう小説としての展開の緻密さが問われる部分についてはほとんど吸収していないと思います。

と、まぁいろいろと書きだしてみました。
私が人間が持つくらい部分をあまり描かないのは、現実の世界ではいやというほどそういった部分とつきあっていかなければならないのに、わざわざ「幻想」の世界でもそんなことを持ち込まなくてもいいじゃないという思いが多分にあるためです。そしてその対となる部分、描いていく部分というのは「美しさ」であり、それはジブリや様々な小説から影響を受けながら、李花尺のなかに形成されたものなのかも知れません。

2 件のコメント:

  1.  連続でコメントになってしまいますが興味深かったので。
     最初「李さんがアニメの話を…」とちょっと驚いてしまいましたが、内容はやっぱり李さんで安心しましたw。ジブリは確かに李さんの絵っぽいかもとはなんとなく思っていました。しかしこう見ると李さんはほんとにアニメやマンガの文化とは隔絶されているのですね…。中高生あたりからどっぷりはまっていた自分とは違うぜ…と肌で感じますw。

     小説はさすがというか、語りに熱を感じますねw。文学的美しさ、あるいは詩的美しさを感じる作品が多いですね。そこはまさに李さんの作品に通じるものがあると思います。宮沢賢治の幻想性とムーミンの穏やかさと厳しさ、それはそのまま李さんの作品の中にあるわけではありませんが、根っこの奥深い、無意識的な部分でつながっているように思います。
     ぜひ北原白秋や工藤直子の詩も読んでほしいですね~。それでは次は音楽語りなども期待しております。

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  2. クズマさん

    コメントありがとうございます。アニメ・マンガの影響が少ないのは間違いないと思います。いまだに目の大きな絵を見るのが苦手・・・なんですよね。ニコニコにくるようになって、ずいぶんとましになったとおもいますが。

    詩、ですが、あんまり読んだことがありません。以前、高村光太郎の詩をどこかで読んだ記憶がある程度ですね。文章の「音」「響き」に気づいたのは比較的最近なので、詩も以前はあまり興味がなかったですが、今読むとまた違うのかもしれません。時間を作って読んでみたいですね。

    音楽の話はまた週末雑感のコーナーでやってみる予定です。しばらくお待ちください。

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