2012/02/23

【後書き】アリスと上海人形

さて、今回は上海人形の出自についてちょっと考えてみました。

アリスは自律人形の作成に興味があり、アリス自身はまだ完全な自律人形を作ることができないけれど、上海だけは特別な存在である、というような設定を前から私は採用していたのですが、では上海とはいったい何者だろうか?と考えたときに、だれかから貰ったんじゃないかと思った訳です。そしてそれは母である神綺様であろうと考えました。
 アリスの出自そのものも詳細に描いていけば面白いと思うのですが、今回は割愛。神綺のそばにいるためにうける特別扱いに対する不満と、特別扱いされることから自然とプライドが高くなり、やっぱり自分から友達を見つけるのではなく、自分で作ろうとする傲慢さ(これは神である神綺のそばにいる影響もあるでしょう)、これらのことは本作でもふれたのですが、ちょっと消化不良かな・・・。
 
 人形と魂の話が出てきますが、魂って結局、魂を持った者がそれを分け与えることで魂をもたない「なにか」に移るんじゃないかなぁと思うのです。それは神綺様の言葉で言い表せば「愛」ということなのでしょう。神様である神綺は無限に大きな魂を持つために世界を作る事が出来たのだと思います。ということで神綺様はいたく母性が強い存在として描きました。




ちょっと今回はいろいろ広げられそうで広げにくいアイディアを詰め込んだ感が強いですが、楽しんで頂けたら幸いです。

2012/02/22

結局、なんでこんなこと(東方二次創作)とかやっているのか?という話。

ニコニコ動画に動画を投稿する人間の心理というのは千差万別だと思います。面白いネタを考えついたから、有名になりたいから、こんな動画見たいけど誰も作らないから・・・で、私自身はどうして東方二次創作なんてやっているのだろうか?と今一度考えてみたのですが、こんな結論に達しました。

「思っていることを共有したい」

もちろん「有名な手書き作者になりたい」とかけらも思っていないわけではなくて、作るからには多少は有名になりたいという欲は今でもあります。ですけど、それだけが原動力になっているわけでもないと思います。

 美味しそうなリンゴと満面の笑みを描いて、「美味しそうなリンゴだね」と私が描いた世界に共感してくれるとうれしいのです。「あぁ、リンゴが好きな人が自分以外にも居るんだ」このことが知りたくて私は動画を作っているのだと思います。
 私はたいてい動画を作るときは伝えたいテーマを設定したり、私なりの幻想郷・キャラクターの解釈を加えたりしています。そして、「なるほどなぁ」とか「わかるわ」とかコメントしてもらえるのが一番うれしいですから、たぶん間違いないと思います。
 同じ理屈で「漂う雰囲気に定評のある〜」というタグや、雰囲気がなんだか分からないけど好きだというコメントも私なりの世界が共感してもらえたからだと勝手に解釈しているわけです。多分、こういったコメントやタグがなかったら早々にやめていたかもしれません。雰囲気が好きだとコメントしてくださる=私の感覚や思ったことを共有してくださる人に支えられているんだなぁとつくづく思いました。


 ということで、これからも皆さんに共感してもらえるような、共有しがいのあるような物語や発見を提供できたらなぁ・・・と思います。

2012/02/14

【後書き】神子達の引っ越し 【補足】

後書きに書き忘れた、というか、コメントに対する回答をば。

宮古芳香がいない・・・という話なんですが、決してその存在を忘れていたわけではありません。ではどうして登場させなかったかというと、芳香は青蛾娘々の「私物」であるという解釈をしたからです。そして青蛾娘々は神子、布都、屠自古の3人のいわば師匠格にあたり、自由な性格をしていると考えたので、すこし3人とは距離をとっていると考えます。ですから、芳香を主に3人の生活スペースである神霊廟(と付随する施設)に住まわせることはしないだろうと考えました。原作でも廟ではなくて、墓場にいたわけですし。芳香は青蛾娘々が必要に応じて呼び出す存在というように解釈しました。

というような理由で、芳香がいないのは仕様です!

2012/02/13

【後書き】 神子達の引っ越し

神子達の引っ越し、如何だったでしょうか。

 本作を作るきっかけというのは、1000年の長きにわたって寝ていた(封印されていた)彼女らの浦島太郎状態を描く、というのが主題でした。後は神子達の生活を描いた作品が少ないから、自家発電しましょうというのが少なからずあります。

 彼女らの生活を考えるに、道教を信奉しているわけですから、大陸風な建築物が似合うかなぁと思い、そのあたりを意識しました。窓枠、東屋とかですね。で、廟というのは神聖な建築物ですから、そこに住むというのはなにやらおかしいと思うので、作中で彼女らが活動している建物(紫が腰掛けた建物)は廟ではありません。それに付随する施設ですね(=生活空間)。廟は、こじんまりとしたものが森の中にある設定です。彼女らも廟に腰掛けられたらもっと怒ると思いますよ。

 で、浦島太郎状態が如実に表れるのは何かなぁと考えたとき、やはり明かりというのは重要な要素だろうと思いました。生の火しか知らない者からすれば、電気による照明というのは謎でしょうね。雷を閉じこめていると説明すればよいのでしょうか?・・・ともかく、電気による照明を提供されることは非常に彼女らにとって衝撃的な事だろうなと思いました。


 彼女らの性格ですが、なかなか迷いました。「美しくあって欲しい」という私の願望がいずれの作品にも強くでてくるため、どうしても似通った性格になります。で、描いていて、神子らしさ、布都らしさ、・・・を上っ面(口調など)だけで区分けするのもなんだか罰当たりな気がして(駒のように扱いたくないので)どうも大変でした。これは彼女らの生い立ちや歴史を十分把握しておらず、そこから導かれる必然性がないからだと思っています。その点、これまでの作品はその辺り自分なりに彼女らの性格に納得がいっていたのですが・・・

 神霊廟の面々はこれから幻想郷とはどういう所なのか、ゆっくりと学んでいくことになると思います。その辺り、シリーズで追っていっても面白いかもしれませんね。


小説読んだり、アニメみたりでずいぶんと制作が遅れましたが、楽しんで頂けたら幸いです。

2012/02/10

ごめんなさい

・・・うん。

パトレイバーも見終わったことですし、この土日は動画を作ります。多分、日曜には投稿できる・・・かな。もうしばらくお待ち下さい。

パトレイバーを見たよ。

劇場版パトレイバー the movie 1と2を見ました。

 どうして押井守の80年代の映画を見たかと申しますと・・・「後てゐ隊長」と申せば、分かる方には分かると思います。
(ニコニコ動画で活躍中のNiceTeaさんの動画の中で東方Projectの登場人物である「てゐ」がパトレイバーに出てくる後藤隊長そっくり、というか後藤隊長のパロディであり、その後藤隊長がきになった訳ですね)

 実は押井守とは大学一年の時に出会っていました。それは大学の講義で人間学だったかなんだったか、一般教養の一コマで、「眼鏡をかけた人間は広義のサイボーグである」みたいな話の流れのなかで攻殻機動隊 ghost in the shellを見ました。へぇ・・・と思いながら見たのを覚えています。で、押井守、パトレイバーには前述のように東方二次創作という思わぬ場所でまた出会ったわけです。

 感想ですが、やたらと鳥の描写が多くて気になりました。鳥と映画といえば、ヒッチコックが頭をよぎるのですが(見たこと無いですけど)、いまいち映画との関連性が見つけられなくて気持ちが悪いのが実感ですね。執拗に繰り返されていただけに、気になって仕方がない。後、聖書の引用って押井守好きなんですかね、攻殻でも出てきたような・・・気がします。

 1ですが、零式、かっこいいですね!まるで小学生の感想ですが。他のレイバーを貫く動作が良いです。人差し指と中指をたてて、相手を貫いた後、指全体が開けるのがグロテスクなのですが、妙なリアリティがあって良いです。太田のレイバーが壊したレイバーの腕を振り回す様子なんかはかなりコミカルなのですが、それとの対比が面白いです。零式がかなりロボットらしい動作なのは、HOSを切ってマニュアルで動作していたからなのか、すでにHOSに乗っ取られてOSを再構築中で不十分だからなのか・・・ま、理由はどちらか分かりませんが、かなり印象的な場面でした。
 あとは帆場という男の経歴を追う場面で、ずいぶんとバラックというか裏町の描写がありました。さすがに今では残っていないのでしょうが、80年代にはまだ作中で描かれた様な水場に接した掘っ立て小屋の群れというのがあったのでしょう。再開発に伴う破壊、そしておびただしいゴミ。帆場にとって東京(都市)の発展は人類の狂宴だったのだろうし、またそれに対する帆場の鉄槌もまた狂気だと思います。「たちの悪い夢」、というセリフが心に響きますね。作中に出てこない人物が主人公達を引っかき回すというのもなかなか面白い物です。しかも、どうころんでも帆場の勝ちですし。あ、そういえば、鳥は無人の第二制御室に巣くっていましたけど、結局、鳥がなんどもでてくるのは人間の狂宴の後には自然がそれを飲み込むということなのかなぁ・・・
 後藤隊長ですが、やっぱり面白い人物ですね。人の使い方とか。ひょうひょうとした感じとか。でも「2」のほうが印象が強いですね。ま、作品の性格上、当たり前かもしれませんが・・・

 2ですが、うん・・・ちょっとは1回では分からないところあり。場面が飛ぶ間にどうもいろんなことが起こっているようなのですが、補完しようとするところに次々情報が重なってきますから、ちょいと私の脳みそでは一度流しただけでは了解できないところがあります。ま、大筋は分かりますが、こまかい部分がどうしても。例えば、最後の埋め立て地のヘリの残骸ってなに?松井さんの持って帰ったディスクで飛行船によるジャミングを解消できたのか?それとも柘植?
 後藤隊長がかっこいいわけなのですが、最後の柘植の戦争が偽り、非現実なんだ、というくだり。柘植の起こした戦争は確かにほとんど血が流れていないということでリアリティに欠けるのかもしれません。が、物的な破壊が行われた以上、やはりそれはリアルな戦争だったのだと思うのです。荒川さんの言葉を借りるなら、ふっとんだベイブリッジは紛れもない真実なわけです。(←ん、ちょっとセリフ違うかも)もちろん、東京に住む人々は結局の所、目を覚まさないと思いますから、後藤隊長のいうように、リアルな戦争ではなかったのかもしれません。作中の戦争はある者(主に当事者、柘植、特車二課)にとってリアルだったのでしょうし、上層部や市民にとってはリアルではなかったのでしょう。しかし、これというのは現実社会に置いて第二次世界大戦以降、先進国にとって常に当てはまっていることであると思います。
 ちなみに、後藤隊長がしのぶさんに呼ばれて「はいぃ?」と素っ頓狂な声で返事をしているシーンが好きです。シリアス一辺倒でないところが後藤さんの魅力なのでしょうね。
 あと、東京を襲った攻撃ヘリのコールサイン(?)が「gong」だったのが、印象深いですね。東南アジア某国でのコールサインと同じだった。おそらく士気を高めるためにそうしたのでしょうけど、あんまり縁起がよくないような・・・

 ながながとレビューを書きました。ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。おもしろい作品だと思うので、時間があれば、手にとってみてはいかがでしょうか。