2011/08/19

小傘と雨 【後書き】

今回は「雨」が描きたかったのと、小傘のような妖怪はきっと複雑なんだろうな、という事が描きたかった。ですので、橙から物語は始まりますが実は脇役です。
雨の降り始め、降っているところ、そして止むところを描いたのですが、いまいちでしたね。雨脚が強まると地面や屋根で踊った水滴がもやを作りますが、それは挫折しました。降り始めはもう少し作画枚数を増やせばましになったかもしれません。雨上がりはもっと水滴のまぶしい鋭い様子を描ければ良いのですがこれもまた轟沈しました。うむ、妥協が多い回でした。
・・・まぁ絵はこれからも精進するとして・・・
内容ですが、小傘が「忘れ傘」の妖怪であるならば、傘としての機能を果たせずにいたもどかしさをずっと持っているのではないか、というのが本作を作るきっかけです。それは作中で小傘がしゃべっている通りです。
小傘は雨が嫌いなのか。私は雨が小傘に複雑な思いをもたらすものではあるものの、小傘は雨そのものが嫌いな訳ではないと思います。では、自分を使ってくれなかった人間が嫌いなのか?これは難しい問題ですが、小傘を作ったのもまた人間であり、小傘という妖怪を生んだもの人間の身勝手、というか忘れっぽい性格によるものです。ですから、小傘が自分という存在を考えるときに人間とは切っても切れない関係にあることは、小傘自身も分かっているのだと思います。ですから、極端な行動(人間を驚かす以上のこと)は避けているのかもしれません。人間に対して強気にでる妖怪とはその辺りが違うのではないでしょうか。この辺りをもう少し掘り下げると面白いかもしれませんね。
道具というのは目的をもって作られており、その目的を奪うことは、道具にとって非常につらいことだと思います。この動画を作っていて、改めてそう思い、なるべく物は大切に仕様と思いました。
11・08・21:タイトルを修正。橙と小傘→小傘と雨 橙と…は仮題だ

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