2014/03/16

印象派

どうも、春の陽気にさそわれてそぞろ出てきた李花尺です。


今日は「光の賛歌 印象派展」@京都文化博物館に行ってまいりました。

「印象派」という名前は、非常にわかりやすく、そして引きつける言葉ですね。我々の周りに存在する「物質」の総和としての世界を写し取るのではなくて、それを捉えた己の中の世界を描くという画家の立ち位置がよく現れている言葉だと思います。私は目が悪いのですが、眼鏡を外してみる世界というのはまさに印象派の絵画のような世界です。今回の展覧会にもモネが晩年、目を病んだ後の「睡蓮」が来ていましたが、それはモネが人生の終盤に見た世界そのものなのでしょう。
 印象派の絵画の、写実的な絵画とは違うなんとなく優しい雰囲気が好きです。なだらかな丘、運河にうつる並木の影・・・牧羊的な風景の絵画は優しい印象ですね。また、今回はノルマンディーの海岸を描いた作品も多く展示されていたのですが、波の荒々しさもうまく捉えられていて、さすがだと感じ入った次第です。私はこれまで「ほわんとした」印象派の絵画しか知らなかったのですが、今回はそれとは違った作品を見ることができて良かったです。

 一方で、絵画そのものに引き込まれることはあまりありませんでした。強烈な絵画は人を引き込む様な力があると思っているのですが、印象派の絵画というのはそのあたり、少し淡泊なのかもしれません。もちろん、淡泊だから駄目だというわけではないですけどね。もしかしたら、ヨーロッパの風景に馴染みがあまりないものですから、郷愁感と言いますか、そういったものが喚起されなかっただけかもしれません。

 たまには絵画鑑賞もいいものですね。でも、そんなことをしていたので、作品の投稿はまた来週以降にずれこみます。

3 件のコメント:

  1. おかえりなさい!お待ちしてました!

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  2.  復活待ってましたぜ!
     時節は春、李(すもも)の花が咲く季節、まさしく復活にはうってつけですね。
     ととも、楽しみにしております!

     印象派はその後、ピカソなどの近代芸術に影響を与えていきますね。写真によって写実主義が廃れ、まさしくアート的な作品が生まれてくる嚆矢と言えましょうか。印象派はジャポニスム(日本の浮世絵など)の影響もかなり受けています。当時のヨーロッパの人に日本の絵はかなり珍妙に見えたようです。自分も少し前に浮世絵師・弘瀬金蔵の絵画展に行ったのですが、なんというか異常でした…。弘瀬金蔵の時代はちょうど印象派の時代とかぶっていますが、とても同じ時代の絵とは思えませんね。あまりに漫画的すぎてw。
     個人的に印象派で重要なのは「絵は写実的でなくても良い」ということを広めたことだと思います。でも日本ではそれは昔から普通のことで、逆に写実的な絵ってあんまりなかったんですよね。なんというか不思議ですw。

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  3. >撲滅隊さん
    戻って参りました。まずは暖機運転ということでやんわりと再開して参ります。

    >クズマさん
    いやぁ、相変わらず物知りですなぁ。本展覧会でも踊り子がセンスを持っている絵がきていました。モネの睡蓮が日本庭園をモデルにしていることは有名ですが、あの時代の画家達にとって本当に衝撃的だったのでしょうね。きっと世界が一気に広がったのだと思います。地球の反対側に「未開」とはまた違う社会があると知ったら、私も興奮するでしょう。
     「写実的でない絵」といえば、マンガも表情の記号化が進んでますよね。日本人はそういう簡略化が好きなのでしょうか。

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