2012/02/10

パトレイバーを見たよ。

劇場版パトレイバー the movie 1と2を見ました。

 どうして押井守の80年代の映画を見たかと申しますと・・・「後てゐ隊長」と申せば、分かる方には分かると思います。
(ニコニコ動画で活躍中のNiceTeaさんの動画の中で東方Projectの登場人物である「てゐ」がパトレイバーに出てくる後藤隊長そっくり、というか後藤隊長のパロディであり、その後藤隊長がきになった訳ですね)

 実は押井守とは大学一年の時に出会っていました。それは大学の講義で人間学だったかなんだったか、一般教養の一コマで、「眼鏡をかけた人間は広義のサイボーグである」みたいな話の流れのなかで攻殻機動隊 ghost in the shellを見ました。へぇ・・・と思いながら見たのを覚えています。で、押井守、パトレイバーには前述のように東方二次創作という思わぬ場所でまた出会ったわけです。

 感想ですが、やたらと鳥の描写が多くて気になりました。鳥と映画といえば、ヒッチコックが頭をよぎるのですが(見たこと無いですけど)、いまいち映画との関連性が見つけられなくて気持ちが悪いのが実感ですね。執拗に繰り返されていただけに、気になって仕方がない。後、聖書の引用って押井守好きなんですかね、攻殻でも出てきたような・・・気がします。

 1ですが、零式、かっこいいですね!まるで小学生の感想ですが。他のレイバーを貫く動作が良いです。人差し指と中指をたてて、相手を貫いた後、指全体が開けるのがグロテスクなのですが、妙なリアリティがあって良いです。太田のレイバーが壊したレイバーの腕を振り回す様子なんかはかなりコミカルなのですが、それとの対比が面白いです。零式がかなりロボットらしい動作なのは、HOSを切ってマニュアルで動作していたからなのか、すでにHOSに乗っ取られてOSを再構築中で不十分だからなのか・・・ま、理由はどちらか分かりませんが、かなり印象的な場面でした。
 あとは帆場という男の経歴を追う場面で、ずいぶんとバラックというか裏町の描写がありました。さすがに今では残っていないのでしょうが、80年代にはまだ作中で描かれた様な水場に接した掘っ立て小屋の群れというのがあったのでしょう。再開発に伴う破壊、そしておびただしいゴミ。帆場にとって東京(都市)の発展は人類の狂宴だったのだろうし、またそれに対する帆場の鉄槌もまた狂気だと思います。「たちの悪い夢」、というセリフが心に響きますね。作中に出てこない人物が主人公達を引っかき回すというのもなかなか面白い物です。しかも、どうころんでも帆場の勝ちですし。あ、そういえば、鳥は無人の第二制御室に巣くっていましたけど、結局、鳥がなんどもでてくるのは人間の狂宴の後には自然がそれを飲み込むということなのかなぁ・・・
 後藤隊長ですが、やっぱり面白い人物ですね。人の使い方とか。ひょうひょうとした感じとか。でも「2」のほうが印象が強いですね。ま、作品の性格上、当たり前かもしれませんが・・・

 2ですが、うん・・・ちょっとは1回では分からないところあり。場面が飛ぶ間にどうもいろんなことが起こっているようなのですが、補完しようとするところに次々情報が重なってきますから、ちょいと私の脳みそでは一度流しただけでは了解できないところがあります。ま、大筋は分かりますが、こまかい部分がどうしても。例えば、最後の埋め立て地のヘリの残骸ってなに?松井さんの持って帰ったディスクで飛行船によるジャミングを解消できたのか?それとも柘植?
 後藤隊長がかっこいいわけなのですが、最後の柘植の戦争が偽り、非現実なんだ、というくだり。柘植の起こした戦争は確かにほとんど血が流れていないということでリアリティに欠けるのかもしれません。が、物的な破壊が行われた以上、やはりそれはリアルな戦争だったのだと思うのです。荒川さんの言葉を借りるなら、ふっとんだベイブリッジは紛れもない真実なわけです。(←ん、ちょっとセリフ違うかも)もちろん、東京に住む人々は結局の所、目を覚まさないと思いますから、後藤隊長のいうように、リアルな戦争ではなかったのかもしれません。作中の戦争はある者(主に当事者、柘植、特車二課)にとってリアルだったのでしょうし、上層部や市民にとってはリアルではなかったのでしょう。しかし、これというのは現実社会に置いて第二次世界大戦以降、先進国にとって常に当てはまっていることであると思います。
 ちなみに、後藤隊長がしのぶさんに呼ばれて「はいぃ?」と素っ頓狂な声で返事をしているシーンが好きです。シリアス一辺倒でないところが後藤さんの魅力なのでしょうね。
 あと、東京を襲った攻撃ヘリのコールサイン(?)が「gong」だったのが、印象深いですね。東南アジア某国でのコールサインと同じだった。おそらく士気を高めるためにそうしたのでしょうけど、あんまり縁起がよくないような・・・

 ながながとレビューを書きました。ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。おもしろい作品だと思うので、時間があれば、手にとってみてはいかがでしょうか。

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