2011/07/16

後書き 「霧の大河 最終話」

 さて、「霧の大河」終わりました。レティが冷たく孤独な妖怪から、おだやかな妖怪へとどう変わっていったかを描けたら・・・という願いの半分でも達成できたでしょうか。


 言葉は人に思いを伝えることのできる大変に便利な道具ですが、使い勝手は必ずしも良いとは限りません。作中でももっと立て板に水のような弁舌をふるわせたならば、もう少し、レティの心の機微を伝えることが出来たかもしれません。が、あえて、うまく言葉にならない部分は、そのままにしておきました。ですから、言葉足らずの所は是非、皆様で補完してあげてください。


 そうそう、椛がえらく薄着になっているのは、暑すぎで脱いじゃったせいです。椛は普段から脱ぐような性格の持ち主ではないですが、どうやら暑さで参ってしまったようです。狼とか犬とかは、たしか舌でしか放熱できなかったような・・・気がするので、きっと椛も夏は大変なんだろうと勝手に設定しました。で、文はいたく困ってしまって、チルノに氷を作ってもらうことを思いついたのでした。
 文がチルノに渡した手帳(というかノート)は新聞のロゴとか広告入りです。


これくらいですかね、設定とよべるものは。



 さて、これで一段落。また「ととも」シリーズで短編を上げていきたいと思います。そして、そろそろ初期作品を下敷きにした中編〜長編を考えていきたいと思っていますが、思っているだけで、どうなるかはまだ分かりません。

3 件のコメント:

  1. 動画、お疲れさまでした。
    今回はなんというか、ドラマティックで感情的な、しかしいつもの李さんの雰囲気が流れている、不思議な感じがしました。

    孤独であり、それを享受しているレティ。そこからの感情の変化をどう描くか…というのが今回の焦点でしたが、あくまで自然に、けれども劇的に変化が描かれていたように感じます。

    それは物語の中で何度もレティがチルノと出会い、そして別れているのがポイントではないか、と感じました。レティが一冬で一気に変化するのはおかしいし(物語的にはよくありますが)、だからといってひたすら長いスパンで描いていくと冗長になる…。そのバランスが気持ちいいほどよくとれている、と思いました。なんか偉そうな意見ですがw。

    自分はある程度時間をかけた変化をうまく描いている作品が好きで、「霧の大河」は自分的にとてもしっくりときました。チルノとレティが出会い、別れる。互いに対する感情、あるいは表情が変わっていく。この移り変わりに”品”を感じます。

    また今回も非常にキャラクターが素敵でした。それぞれが自分の考えを持ち、自然に役割を演じている。いわゆる”萌え”のような表面的なキャラ付けではない奥深さを感じます。あと大ちゃんはセクシーでした…。何故かドキドキしましたw。

    そして最終話で夏のシーンが出たとき、はっとしました。鮮やかな色彩と氷漬けにされた金魚の模型、それらがはっきりと夏を示していたからです。「そうか、この話はこれまで冬のシーンを主に描いていたのだった…」と唐突に思いました。これは李さんが冬のシーンを描けていないのではなく、東方手書き動画に季節を描いたものが少ないためです。いえ、もっと言えば自分の季節に対する感覚が薄まっていたせいでもあります。そして李さんの動画に最初にはまったきっかけが、ととも第一話の”秋の木の影”だったことを急に思い出しました。

    こういう場面に出くわす度に、李さんの”変化”の描き方をうらやましく思います。そしてまた再び自分の鈍りそうな感覚を奮い起こすのです。

    今回も本当に素晴らしい作品に出会えました。

    次の作品も期待しております。
    それでは。

    返信削除
  2. 感想、面白く拝見しました。ありがとうございます。

    この物語を造る過程で最初に考えたのは「何回」でレティの変化を求めるか、でした。少なくとも妖怪が、たった一度の出会いで変わることは出来ない。そして多くの妖怪にふれあうこともないだろうと思っていました。多くの妖怪とふれあう社交的な妖怪ではない、という設定から始まりますからね。実は、いろいろネタとしては藍(紫の言葉を伝える役割として)や幽香なんかとの会話も案としてはあったのです。ただ、物語が冗長になるな・・・と思って没になっています。バランスがよいかどうかは人にもよりますが、私としては長くなりすぎないぎりぎりまで話を詰め込んだつもりです。クズマさんにとってバランスがよいものに感じられたのは幸いでした。

    これまでの東方手書きを否定するわけではありませんが、一冬でレティとチルノがなかよくなる動画を見て、それは無理があるな・・・というのがこの動画を作る遠いきっかけになっています(動機としては「変化」を描きたいというものが一番強い)。そして、表情ですが、うまく描けたシーンもあれば、納得がいかないシーンもあります。実は最終話のレティとの再会のチルノ&大ちゃんの表情はかなり妥協しました。ほんとはもっと驚きと喜びをまぜた顔を描きたいのですが。大ちゃんは、自分にかまって欲しいけど、チルノの気持ちも大切にしたいという葛藤がベースにある&レティとはチルノを挟んで接してるという微妙な距離がある、という非常に難しい心境を表情に表す必要があったのですが、一部は成功しましたが、難しかったですね。どこか陰のある女性はセクシー、だと私は思いますw。

    季節の描写は今回、気をつけました。よく見てくださると、春先や秋の終わりは地面が茶色というか黄土色をベースに背景が描かれていますし、冬になると雪が積もって背景は白くなっています。山に積もる雪も真冬は多く、ほとんど白いですが、春先には山の頂上付近だけになっていたりする・・・ハズです(塗り忘れとかもあるかもしれませんが)。文とレティのやりとりは基本的にレティが弱っている季節に行われているので(さすが、文!)、黄土色の背景、あるいは少し雪が残っている状態であるのです。

    「陰」はいまだに描くことが出来ず、そしていつか描きたい素敵なファクターです。実はチルノと大ちゃんが木に寄りかかっているシーンでは陰影の濃い木陰を演出したかったのですが、挫折しています。陰、いつか描けたらいいですね。

    季節をまたいだ物語を紡ぐのはしんどいですが、いずれまた挑戦したい話題です。

    次は短編を準備しています。テーマは「揺れ」かな?

    返信削除
  3. あ、次のテーマは「静寂」でした。「揺れ」はその次。

    返信削除